【知っておきたい】COP26って何?気候変動に対策するための世界の取り組み

Sustty編集部がお届けするSDGs情報です。

マリモっち
この前COP26って言葉をネットでみたけど、そういえばこれはどんな意味なんだろう?
ロボットみたいにも聞こえるけど、温暖化に関係しているのかな?

こんな疑問に答えていくため、本記事では「【知っておきたい】COP26って何?気候変動を知り、対策する世界の枠組み」について紹介します。

この記事を書く私は、サステナブルに興味がある研究開発者です。特に気候変動に興味があり、最先端の技術を調査しながら、今と未来の社会に貢献するモノづくりやソリューションをつくっています。

気候変動はSDGs13「気候変動に具体的な対策を」の課題ですが、皆様が気候変動に関するニュースや記事に出くわす際に、COPやCOP26という言葉がでてくるかと思います。そこで今回は、実際にCOPがどのようなもので、最新のCOP26は何がおきているのか?という点を見ていきたいと思います。

その前に、まずは、SDGs13に関しておさらいしておきましょう。

SDGs13「気候変動に具体的な対策を」のおさらい

地球温暖化の原因への対策として、世界的な対策が「SDGs13」です。

SDGs13とは「気候変動に具体的な対策を」というキャッチフレーズのもと、人の生活に由来する気候の変化(平均的な温暖化)をとどめ、今後発生していく自然災害に対して適応していくことを目的としています。

気候が変動し、地球温暖化によって大気中のエネルギーが高まると、熱波や干ばつ、集中豪雨、自然火災、大型台風など様々な自然災害の増加すると予測されています。そのため、気温の上昇を緩やかにし、その影響を緩和するために、温室効果ガスの削減が求められています。また、まちづくりや人々の変化を通して、自然災害が多発するような環境に適応していくことも重要となっています。

この緩和適応がSDGs13のキーワードです。詳細については次の記事で紹介しています。

関連記事:SDGs13とは?地球温暖化の問題と持続可能な開発目標「気候変動に具体的な対策を」

COP26とは?なにをやっているの?

このような気候変動を知り、対策をとるためにCOP26が大きな役割を果たしています。では、COP26とは何でしょうか?

✔︎COPとはなにか?

COPとは『締約国会議(Conference of the Parties)』の略で、「気候変動枠組条約」の加盟国が、地球温暖化を防ぐための枠組みを議論する国際会議。1995年から始まった取り組みで、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って中止された2020年を除き、毎年開催されている。

COPの上位の目的は、

地球温暖化の防止のために大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることです。

全締約国には、おもに下記の義務が課されています。

  • 温室効果ガスの排出及び吸収の記録と定期更新
  • 具体的対策を含んだ計画の作成・実施
  • 先進国は途上国への資金支援や技術支援の推進
  • 上記に関する情報を締約国会議(COP)へ送付

COPの始まりには、1994年に発効した「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」が関わっています。これは気候変動問題に関する条約で、気候変動問題を解決すべく、197か国・地域が締結・参加しています。2020年までの枠組みをさだめた「京都議定書」や2020年以降の枠組みをさだめた「パリ協定」は、国連気候変動枠組条約の目的を達成するための具体的な枠組みとしてさだめられたものです。

気候変動問題は国際的な問題であり、各国が共通して取り組む事項として、協力して取り組んでいます。ただその具体的なルールになると、国の事情が異なる中、全会一致で合意できるような具体的なルールをまとめることは極めて困難なことです。そのため、気候変動の交渉においては、「共通だが、差異のある責任」という条約の原則のもとに、温室効果ガス削減政策の実施義務などが課せられている「附属書締約国」と呼ばれる国々があります。

附属書Ⅰ国の多くは先進国で、また「市場経済移行国」と呼ばれる国々も含まれています。一方、これまで発展途上国と認識されていた国々は「非附属書締約国」と呼ばれ、附属書締約国の約4倍ほど存在しています。

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この附属書締約国/非附属書締約国の中で、あるいはその2つを横断するかたちで、異なる立場をとるさまざまなグループが存在し、交渉グループを活用して、交渉を進めています。

 

アンブレラグループ EU 環境十全性グループ
アメリカ、日本、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、ニュージーランド、アイスランド、ロシア、ウクライナ ドイツ、フランス、フィンランド、丸太、ルクセンブルグ、ポーランド、イギリス(離脱まで)等 韓国、メキシコ、スイス、メキシコ、リヒテンシュタイン
同志途上国(LMDC) 小島嶼国連合(AOSIS 開発途上国
中国、インド、イラン、サウジアラビア、エクアドル、マレーシア等 モルディブ、マーシャル諸島、セントルシア、ナウル、ツバル、フィジー等 エチオピア、ブータン、ソロモン諸島、バングラディシュ、ネパール、アンゴラ、ブルキナファソ等
アフリカ交渉グループ(AGN) ラテンアメリカ・カリブ海・独立連動
南アフリカ、ジンバブエ、スーダン、マリ、ガンビア等 チリ、ペルー、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ等

上記は、主な交渉グループをまとめたものです。形成されています。日本は、環境と成長のバランスを重視しようとするアンブレラ・グループに属しており、同グループ内には米国やカナダ、オーストラリア、ロシア、ノルウェーなどがいます。一方、日本でもよく話題になるEUは、環境を第一に考える傾向があります。

さらに、気候変動の影響をおおきく受ける恐れのあるモルディブやマーシャル諸島などの「小島嶼国連合(AOSIS)」、南アフリカやジンバブエが属する「アフリカ交渉グループ(AGN)」など、国の状況などが共通する国々による交渉グループもあります。更に、温室効果ガスの排出が大きい、中国やインドなどは「同志途上国(LMDC)」と呼ばれるグループを形成し、自国の経済成長を踏まえた主張がなされているようです。

これらの交渉グループは、グループごとに主張をまとめて発言する傾向があります。特に先進国から途上国への支援を主張する傾向にあります。

 

これまでのCOPによる主な取り決め

では、これまでのCOPではどのような事が決まってきたのでしょうか?主なものとして、二つの取り決めが挙げられます。

COP3:京都議定書(1997年)

COPの第3回会議で、温室効果ガスの削減目標を定める京都議定書が採択されました。これは、2008年から2012年までの期間中に、先進国全体の温室効果ガス6種の排出量を、1990年比で少なくとも5%削減することを目標として定めています。また、2013年から2020年までの7年間が「第二約束期間」として設けられ、各国に排出削減量目標が設定されました。つまり、2020年までの温暖化対策の目標を定めたものが、京都議定書になります。

ただ、京都議定書についてはいくつかの問題が指摘されています。中でも最も大きい問題が、批准国の限定とその目標値です。2018年時点で二酸化炭素排出量第1位の中国、第3位のインドは、京都議定書の中では先進国として扱われていなかったこともあり、具体的な排出削減目標が設定されていませんでした。

また、途上国に削減義務が課せられていないことは、参加国の間に不公平感を募らせる要因となりました。それが一因となって、世界第2位の二酸化炭素排出量(2018年)となっているアメリカは、途中で離脱しています。第二約束期間においては、二酸化炭素排出量(2018年)が第4位のロシア、第5位の日本は参加しておらず、具体的な削減量目標がありません。

日本では第一約束期間の義務を果たすために、温暖化ガスの排出削減の努力が行われてきました。さらに日本が保有する温暖化ガスのクレジット・排出枠(初期割当量、森林吸収源、海外からの京都メカニズムクレジット)を償却することで、6%削減目標の達成が正式に決定したと発表されました。京都議定書第一約束期間の削減目標について、日本の状況に係る国連の審査が完了し、国連ホームページにおいてその結果が公表されています。

 

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COP21:パリ協定(2015年)

京都議定書の反省を生かしたかたちで、第21回COPでは、温室効果ガス排出量削減目標の義務化や、進捗調査などに法的拘束力を持たせたパリ協定が採択されました。この中では、2020年以降の地球温暖化対策について定められています。

当初は、京都議定書のように条件が限定的になったり、条件が満たされるには時間がかかるだろうと考えられていましたが、当時の首脳や関係者の働きかけにより、2016年に発効にこぎつけました。パリ協定には、主要排出国を含む多くの国が参加し、世界の温室効果ガス排出量の約86%、159か国・地域をカバーするものとなっています(2017年8月時点)。それだけ世界各国の地球温暖化に対する関心が高まっているともいえます。なお、アメリカは当初署名していたものの、2019年に協定離脱を発表しました。そして2021年に再署名し、復帰したことも話題になりました。

パリ協定では、次のような世界共通の長期目標を掲げています。

パリ協定の概要
  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
  • できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる

パリ協定が京都議定書と大きく異なり画期的な点は、対象国です。パリ協定では先進国だけでなく、途上国にも温室効果ガスの排出削減を求めています。2016年の温室効果ガス排出量シェアを国別で見ると、中国が23.2%で1位、インドが5.1%でロシアと並んで同率4位となっており、これらの国々を以下に参加させるかが大切なポイントでした。

そこでパリ協定では、途上国を含む全ての参加国と地域に、2020年以降の「温室効果ガス削減・抑制目標」を定めることを求めています。加えて、長期的な「低排出発展戦略」を作成し、提出するよう努力すべきであることも規定されています。

主な国の削減目標は以下の通りです。

 

日本も批准手続きを経て、パリ協定の締結国となりました。この国際的な枠組みの下、主要排出国が排出削減に取り組むよう国際社会を主導し、地球温暖化対策と経済成長の両立を目指しています。

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最新COP26の内容

2021年10月31日から11月13日にかけて、英国のグラスゴーで、「COP26」が開催されました。気候変動という重要な課題を議論するため、COP史上最大の約4万人が参加しました。首脳級会合「世界リーダーズ・サミット」には、日本の首相を含む約130か国以上の首脳が集まっています。

今回のCOPで示された要点は以下のとおりです。

COP26の要点
  • パリ協定でさだめられた「1.5℃努力目標」に向け、締約国に対して今世紀半ばの「カーボンニュートラル」を求める。また、その経過点である2030年に向けた野心的な気候変動対策を要求する。
  • すべての国が、排出削減対策がおこなわれていない石炭火力発電のフェーズ・ダウンや非効率な化石燃料補助金の取りやめを含む努力を加速する

2019年に開催されたCOP25の時点では、121か国が2050年カーボンニュートラルを表明していましたが、EU以外は小国でした。その後、この野心的な目標をかかげる機運が高まり、中国や米国などが次々とカーボンニュートラル目標を表明し。日本も2020年10月に宣言をおこないました。COP26時点では、G20のすべての国を含む150か国以上が年限付きのカーボンニュートラル目標をかかげています。

また、議長国の英国を中心に、数多くの枠組みが立ち上がりました。たとえば、パリ協定の目標を達成するために必要なクリーン技術の開発・展開を加速するため、10年にわたる国際的な協調を目指す英国のイニシアチブ「グラスゴー・ブレイクスルー」には、日本を含むG7全加盟国、中国、オーストラリア、インドなど42か国・地域(2022年2月現在)が賛同しています。

もう一つ大きな動きとしては、パリ協定の第6条に基づく「市場メカニズム」の実施指針が検討されました。市場メカニズムとは、GHGの排出削減をおこなった量を、「クレジット」として国際的に移転するしくみです。クレジットを国際的に移転し、取引をおこなう場合には、統一されたルールの設定が必要となります。そこには、どのような条件のもとで取引が可能になるのか、どのように各国の温室効果ガス削減目標に活用できるのかといった調整が必要です。これまでは、それぞれの国の事情により合意が得られていませんでしたが、今回、実施指針が合意に至り、パリ協定の具体的な枠組みが完成しています。

日本も、岸田総理が、2030年までの期間を「勝負の10年」と位置づけ、すべての締約国に野心的な気候変動対策を呼びかけるとともに、後述の「グラスゴー・ブレイクスルー」などへの賛同を示しました。また、気候変動問題に関する日本の考えをあらためて表明しています。

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まだ間に合う。気候変動に対して私達にできること

ここまで、気候変動に関してCOPとはなにか?これまでの歴史と最新のCOP26の内容は?といった点に関してみてきました。現在の報告書が私達に伝えることは?といったことをみてきました。少しずつですが、国際社会が気候変動の解決に向けて動いていることが分かるかと思います。

私達にはまだ時間があり、気候変動を抑制し適応する対策を講じていくことは十分できます。

 

温暖化を抑制していくためには、実際にアクションを起こしていくことがなにより大切になってきます。以下の記事では、気候変動に対して実際になにができるのか紹介しています。

>SDGs13とは?地球温暖化の問題と持続可能な開発目標「気候変動に具体的な対策を」

また、地球温暖化が人間社会や地球環境にどんな影響を与えるのかについては次の記事で紹介していますので、ぜひご一読下さい。

>【知っておきたい最前線!】地球温暖化の影響とは?「今と未来」への影響を紹介

このほか、SDGsに特化したSNS「Sustty」では、様々なSDGs13の具体例を紹介しています。

https://sustty.com

1人1人の影響は小さいかもしれませんが、みんなが取り組むと「チリも積もれば山となる」で、大きな影響になります。

ぜひこれらの活動を参考に、世界を持続可能にしていきましょう!

また、Sustty-noteのサイトでは、SDGsに関わる様々な情報を掲載しています。宜しければぜひご参考にしてください。

>【完全ガイド】SDGsとは

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2020年台は、今後の地球の持続性における分水嶺であり、この数年のアクションの変化が、今後の地球の住みやすさに劇的な変化をもたらします。

SDGs・気候変動・環境問題などを参考に「持続可能な社会」の参考にして頂けたら嬉しいです。

 

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