Sustty編集部がお届けするSDGs情報です。
こんな疑問に答えます。
この記事を書く私は、サステナブルに興味がある研究開発者です。地球の持続可能性を高めるためにさまざまな視点で活動を行い、次世代のモノづくりやソリューションを作っています。
今回は気候変動の解決に向けて、世界でどのような最新技術やイノベーションが起きているのか、紹介していきたいと思います。
本記事で紹介するSDGs13「気候変動に具体的な対策を」の目標達成に向けた最新トピックは下記のとおりです。
✔︎SDGs13の達成に挑む最新研究5選
① クリーンエネルギー技術
② AI(人工知能)
③ IoT(インターネット・オブ・シングス)
④ ロボティクス
⑤ スペース 2.0
こうしてみるとなんだか横文字だらけですね。
それぞれの内容を知る前に、「なんでSDGs13に取り組むのか?」ということもおさらいしおきます。
改めて本記事では、SDGs13の背景などを含めた「【知っておきたい最前線】SDGs13「気候変動に具体的な対策を」の達成にむけた最新研究5選」について見ていきますので、何か興味のあるものを探してもらえたら嬉しいです。
目次
「SDGs13気候変動」達成へ最新研究を考える前のおさらい
SDGsは「持続可能な開発目標」と定められているため、私たちにできることを考えるにあたって「持続性」に効果があるかを考える必要があります。そのためにはSDGs13に関する「持続可能性」とは何か?ということを知っておくことが必要になりますので、簡単に紹介します。
SDGs13とは?
SDGs13とは「気候変動に具体的な対策を」というキャッチフレーズのもと、人の生活に由来する気候の変化をとどめ、今後発生していく自然災害に対して適応していくことを目的としています。
気候が変動し平均的な気温が高まっていくと、熱波や干ばつ、集中豪雨、自然火災、大型台風など様々な自然災害が増加すると予測されています。そのため、気温の上昇を緩やかにし、その影響を緩和するために、温室効果ガスの削減が求められています。また、まちづくりや人々の対応を通して、気候変動による環境の変化に適応していくことも重要となっています。
SDGs13では、温室効果ガスの排出の抑制(緩和)と、地球温暖化現象が招く影響を軽減(適応)することを目指しています。
詳細については次の記事で紹介します。
関連記事:SDGs13とは?地球温暖化の問題と持続可能な開発目標「気候変動に具体的な対策を」
SDGs13のターゲット
13-1 | 気候に関する災害や自然災害が起きたときに、対応したり立ち直ったりできるような力を、すべての国でそなえる。 |
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13-2 | 気候変動への対応を、それぞれの国が、国の政策や、戦略、計画に入れる。 |
13-3 | 気候変動が起きるスピードをゆるめたり、気候変動の影響に備えたり、影響を減らしたり、早くから警戒するための、教育や啓発をより良いものにし、人や組織の能力を高める。 |
13-a | 開発途上国が、だれにでも分かるような形で、気候変動のスピードをゆるめるための行動をとれるように、UNFCCCで先進国が約束したとおり、2020年までに、協力してあらゆるところから年間1,000億ドルを集めて使えるようにする。また、できるだけ早く「緑の気候基金」を本格的に立ち上げる。 |
13-b | もっとも開発が遅れている国や小さな島国で、女性や若者、地方、社会から取り残されているコミュニティに重点をおきながら、気候変動に関する効果的な計画を立てたり管理したりする能力を向上させる仕組みづくりをすすめる。 |
SDGs13に取り組むにあたっては、上記に挙げられた3つのターゲットに効果的な取り組みができると、SDGs13の目標である「気候変動に具体的な対策を」の達成へ貢献していくことができます。SDGs13に関して私たちにできることはこちらの記事で紹介しています。
関連記事:【今日からできる!】SDGs13「気候変動に具体的な対策を」の達成に向けて私たちにできること
【2022】気候変動に挑む最新研究5選
気候変動に挑む最新技術① クリーンエネルギー技術
初めに紹介するのは、クリーンエネルギー技術です。
クリーンエネルギー:
再生可能なエネルギーから、電気や熱、燃料などの有用なエネルギーを取り出すことの出来る技術。再生化のエネルギーとしては、太陽光、風力、水力、波力や潮力、熱交換や地熱、そしてバイオエネルギーが挙げられる
クリーンエネルギーは、温室効果ガスの排出を劇的に抑えながら、建物の空調や移動手段、工業生産に必要なエネルギーを供給することができます。IPCCのレポートでも、エネルギーへの安全なアクセスを通した社会や経済の発達と、気候変動や環境への悪影響を抑制する両方が可能な技術として取り上げています。
世界におけるエネルギーの需要は今後も増加すると予測されており、こうしたクリーンエネルギーの発達や普及は非常に重要な要素になっています。実際、近年の太陽電池や風力発電、そして蓄電池の普及の速度は目覚ましいものがあります。下記は、世界における主なクリーンエネルギーの供給量を表していますが、年々増加していることが一目でわかると思います。
クリーンエネルギーは人類の長い宿題だった経済成長と二酸化炭素の排出を切り離すための切り札とされ、長期的には少なくとも世界で消費される30%以上はクリーンエネルギーによって賄われると考えられています。しかしながら、世界で消費されるエネルギーの大半は依然として化石燃料を由来とするもので、クリーンエネルギーの一層の発達と普及が求められています。
近年注目されているクリーンエネルギーの1つに洋上風力発電が挙げられます。
例えば、イギリスのカンブリアでは、87基の大型洋上風力発電が建設され、他の施設も併せて120万人の生活を賄う電気が生み出されています。さらに、風力発電に使われるブレードの部品や機器などを関連する工場で開発生産し、操業やメンテナンスを地元の技術者でまかなっていくことで国内外の雇用を創出しています。
参考:Ørsted
ただし、このような新しいエネルギー供給の仕組みを建設する際には、新しい設備のライフサイクル(建設、操業、廃棄)を通した環境影響や騒音の評価も重要です。
総合的な評価をしながら、人と環境とが恩恵を受ける形で、気候変動へのおおきな一手であるクリーンエネルギーが広がることが期待されます。
気候変動に挑む最新研究② 人工知能(AI)
次に紹介する最新技術は人工知能(AI)です。
AIは機械やソフト自体に経験から学習させる機能をもたせたもので、インターネット上の大量のデータを計算し、コンピュータ間や機器同士の通信を通して、様々なタスクを可能にしていきます。例えば、センシングや言語処理、演算、ものごとの判断や、配置換え、そしてものを操ることなどの操作が一例として挙げられます。AIを搭載した機械やソフトウエアは、人々の干渉に対してより独立的にふるまい、これまでのコンピューターが行ってきたよりもはるかに複雑な事柄に対応していきます。
AIは現在最も重要な要素とされており最も早く開発が行われています。具体的に気候変動の抑制に貢献する要素としてはいかのようなものが挙げられます。
- 温室効果ガスや気候変動に起因する災害の特定やモニタリング
- 自然災害のリスクの予測
- 気候や環境の変化を分析
- クリーンエネルギーやものの使用を効率化
- 人々の啓蒙やアドバイス
例えば、仙台市はAIを用いた津波予報のテストを開始しています。そこでは、AUが自動的にドローンを飛行させ、スマートフォンや通信機器を通して警報を鳴らす仕組みがとられており、万が一災害が起きても被害を最小限に食い止めようとしています。
AIを用いてSNS上の情報を分析することで、洪水や土砂災害などの情報をリアルタイムでモニタリングし、住人や災害救助隊の対応を迅速にすることにも応用されています。
また、AIを駆使してこれまでは困難であった「津波や洪水の予測の精度を上げる試み」も世界でなされています。
AIは廃棄物を効率的に処理してリサイクルやリユースを促進することで、不必要なものの消費と気候変動を抑えようとする試みもあります。たとえば、スマートごみ箱はAIと後述するIoTの複合技術で、搭載されたセンサーがごみの量を把握し収集センターに送信し、ごみの種類やそれぞれの量までを把握することで、それぞれの最適な収集処理方法を提案してきます。また世界では、ごみ箱自体がセンサーを活用して、ごみの内容を認識して、リサイクルすべきか廃棄すべきかの判断をする試みがなされています。
参考:Bigbelly
なお、AI とSDGsの関係についても次の記事にまとめているのでご参照ください。
関連記事:【知っておきたい最前線!】人工知能(AI)とSDGsとの関係は?
気候変動に挑む最新研究③ IoT(インターネット・オブ・シングス)
次に紹介するSDGs13に関する最新動向はIoT(インターネット・オブ・シングス)です。
IoT(インターネット・オブ・シングス)
世界的な情報インフラの中で、物理的にもしくは仮想的に、物をつなぐことで可能とするサービス。機械ーもの間の通信をM2M、機械⇔ひと間のコミュニケーションをM2Pと呼び区別される。IoTが発達することで、高速にデータをつくり、処理し、分析することができるようになり、データの量も著しく増加する。
スマートフォンを初めとするモバイル機器の登場により、様々なところでデータを取得し送信することでできるようになりました。さらに、インターネットへの接続は他のものにも広がっていくとされます。これにより、効率よく社会の流れや人やもの流れを効率よくし、気候変動に対してよい影響を与えていきます。
例えば、先進的な取り組みが進むドバイでは、スマートサステナブルシティと称してIoTにより都市の効率化が行われています。 Silver Spring Networks と名のもとにIoTのネットワークを拡張がなされ、例えば、20万世帯とスマート電気メーターがインターネットに接続され、電力の消費を効率化する試みがなされています。
先ほどの紹介したスマートごみ箱は日本でも試みがなされており、例えば、株式会社フォーセティックは、各地でIoTを駆使したスマートごみ箱SmaGOを展開しています。
新規通信世代5Gの登場により今後も、通信速度は飛躍的に向上していくと考えられます。こうした複数の技術領域が上手く連携していくことで、木行動に対する効果的な取り組みがなされていきます。
気候変動に挑む最新研究④ ロボティクス
次に紹介する気候変動の解決に貢献する最新技術はロボティクスです。
ロボットというと歩行型のロボットやお掃除ロボット、そして医療用ロボットを思い浮かべる方が多いかと思います。
ロボティクス:プログラミングにより一連のアクションを自動的にもしくは半自動的に行うことができる技術。センサーやアクチュエーターを通して物理的に物体と相互作用することができる。
ロボティクスによる具体的な気候変動を抑える効果として例えば以下のようなことが挙げられます。
- 温室効果ガスやそのほかの有害なガスの放出を抑える
- 生産プロセスを効率よくしてエネルギーの消費を抑える
- ロボット自体の正確性を改善し、労働に必要な機器のサイズを抑える
- 原料を効果的に使い、物の廃棄量を押させる
また、ロボットは従来は人が届かないところに移動し状況をモニターすることにも使えます。例えば、サンゴ礁の状況や熱帯雨林の詳細な分布を把握することで、気候モデルを正確にし、温暖化の影響を把握することにもつながります。たとえば、イタリアの研究チームが開発した魚型ロボットVenus Swarmは、これまで観測が難しかった広域な海域での分析を可能としていくとされています。
参考:Eni
また、ロボットとSDGsの関係について記事でまとめているので、ぜひご覧ください。
関連記事:【2022年 | 最前線!】ロボットがSDGsに及ぼす影響は?
気候変動に挑む最新研究⑤ スペース2.0
最後の紹介する最新技術はスペース2.0になります。
こちらは、情報通信分野の次に来るフロンティア分野という位置づけで、従来のNASAやESAに加えて海外のベンチャーを中心に開発が活発になっています。
人工衛星の技術はこれまでも、気候変動による地球の変化をしめす有効な情報をもたらしてきました。例えば、変換する温度や、海水面、氷や永久凍土の減少に関するデータは、地球が今どのような状況かを理解するのに役立ち、今後の気象条件を予測するのにつながっていきます。
その技術は近年も進化しており、例えばNASAは、最新の技術を搭載した人工衛星にてATLASというレーザー技術を用いることで、氷の高さの変化をミリメーターの正確性で図ることができるとされます。また、どこを観測するかに関しても数十センチの正確性で調節でき、氷の層の厚さや高さを正確に観測して気候変動の影響を分析することができます。
このような人工衛星を駆使した技術は、他にも土地の変化や、農業の観測、そして大気中の雲の挙動を分析することにも応用できます。
参考:NASA
気候変動の最新研究5選のまとめと私たちにもできること
いかがでしたでしょうか?改めて、今回紹介した気候変動の解決を目指す最新研究は以下の通りです。
① クリーンエネルギー技術
② AI(人工知能)
③ IoT(インターネット・オブ・シングス)
④ ロボティクス
⑤ スペース 2.0
このように、世界や日本では、たくさんの人が日夜技術革新に励んでいます。少し心強く感じられたのではないでしょうか?
そんな中で、私達が日常でできることもたくさんあります。新しい技術の革新と私達の日々の実践の両輪で、気候変動が解決されていくのです。
このほか、SDGsに特化したSNS「Sustty」では、様々なSDGs13の具体例を紹介しています。
1人1人の影響は小さいかもしれませんが、みんなが取り組むと「チリも積もれば山となる」で、大きな影響になります。
ぜひこれらの活動を参考に、世界を持続可能にしていきましょう!
また、Sustty-noteのサイトでは、SDGsに関わる様々な情報を掲載しています。宜しければぜひご参考にしてください。