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人工知能が社会に大きな影響を与えるって聞いたけど、実際のところをしりたい。
こんな疑問に答えます。
この記事を書く私は、サステナブルに興味がある研究開発者です。持続可能な社会の実現に向けて、様々な技術を検討しながら、新しい解決策や仕組みを探っています。
サステナブルな社会に影響を及ぼすものとして、最近では人工知能(AI)という言葉をよく聞くようになってきました。
私たちが気づいているかどうかは別として、AIは私たちの身の回りにあり、日常生活の中で使用されています。Googleで検索するときやSNSのニュースフィードを開くとき、Amazonで商品を紹介してもらうとき、オンラインで旅行を予約するときなど、オンラインでの活動にAIが密接に関わっています。
そこで本記事では改めて、世界で最も注目されている技術、AIについて解説していこうと思います。
目次
人工知能(AI)の定義と概要
人工知能(AI)とは?
人工知能(AI)
人工知能(AI)とは、学習・推論・判断など人間のふるまいの一部をコンピューターを用いて人工的に実現したもの。経験から学び、新たな入力に順応することで、人間が行うようにタスクを実行することを目指す。また演算処理を自動化することで膨大な量のデータを分析し、パターンの解析や予測を行うことができる。
ここでAIの研究分野における知能に関連する主な要素は次のようなものになっています。
知能に関する重要要素
・学習する
・動機づけする
・問題解決する
・知覚する
・言葉を使用する
人間にとって簡単だと思われる行動も知能的なものになります。なぜならば、人は繰り返しの行動のみではなく、新たな状況や条件下において適応する能力を備えているからです。
参考:Britannnia
人工知能(AI)の概要
AIという言葉は、推論や意味の発見、物事の一般化、過去の経験からの学習など、人間に特徴的な方法を備えたシステムを開発するのに使われています。1940年代にデジタル・コンピュータが開発されて以来、コンピュータをプログラムすることで、例えば、数学の定理の証明を導いたり、チェスをしたりといった複雑な作業が実行されてきました。
コンピュータの処理速度や記憶容量が向上し続けていることもあり、ある特定の作業において人間の専門家やプロフェッショナルのレベルに達するAIが開発されています。例えば、医療診断やインターネット検索エンジン、オンラインのお勧め機能、音声認識、手書き文字認識など様々な用途でAIが用いられています。
AIの出現により、私たちの生活におけるすべての分野がほぼ例外なく影響を受けていくと予想されています。
一方で、より広い領域や日常的な知識を多く必要とする作業において、人間の柔軟性に匹敵するプログラムはまだ存在していません。
人工知能(AI)の主な歴史
人工知能(AI)の主な歴史
1950年: AIの概念が提案 イギリスの数学者アレンチューリングによってAIの概念に関する論文が提出
1956年: AIの言葉が提案される アメリカのダートマス大学で開催されたダートマス会議で、計算機科学者・認知科学者のジョン・マッカーシー教授によってAIという言葉を提唱
1950年代後半~1960年代: 第一次AIブーム コンピューターによる「推論」と「探索」が可能になり、特定の問題に対して解答を導き出せるようになる
1970年代: 第一次AI冬の時代 現実社会で起こっているさまざまな要因が複雑に絡み合う課題の解決には対応できないとされる
1980年代~1990年代: 第二次AIブーム あらかじめ専門家が考え得る限りの状況を予測して対処方法や判断を用意するエキスパートシステムの誕生で「知識表現」が増加
1990年代後半: 第二次AI冬の時代 必要となる情報をすべて人の手でコンピューターに理解させなければならず、実際に活用できるのは特定の領域の情報
1956年: チェス用AI「Deep Blue」がチェスの世界王者KaParovを破る
2002年代~: 第三次AIブーム データ量の増加と機械学習の発展でAIの実用化が進展。AIが自ら行動を最適化する強化学習や、発展的なモデルの深層学習(ディープラーニング)などが提唱される。
歴史を振り返ってみると、AIの開発は、ブームと冬の時代を繰り返しており、そのたびにその応用範囲や実用性が広がっていることが分かります。また、現代においては膨大なデータを入手できるようになったことから、AIの開発が加速していることが伺えます。
また最後のところでは重要なキーワード、機械学習やディープラーニング(深層学習)といった言葉も出てきました。そこで次にはAIの分類に関してみてきましょう。
人工知能(AI)の種類
AIは現在進行形で開発が行われており、国際的に規格化された分類表というものは今の所ありません。また、世界の研究開発速度が速く、体系化や日本語訳が追い付いていないところもあります。
しかしながら、AIは「どのようなデータを扱うか?」と「どのような解析方法(モデル)を使うか?」という二つの点で分類ができます。
データの種類や処理方法をもとにした人工知能(AI)の分類
そこで本記事ではまず、AIの代表的な分類方法として、データの種類や処理方法をもとにして分類化したものを紹介します。
参考:edureka
いきなり聞きなれない言葉が沢山出てきて、戸惑う方もいるかと思います。まずはこんな言葉があるのだなと把握するぐらいで大丈夫です。
次にここでは、主なAIの種類について紹介していきます。
主なAI① 機械学習(マシンラーニング)
機械学習(マシンラーニング)とは、経験からの学習により自動で改善するコンピューター処理のことです。コンピューターがデータから学習し、そこに潜むパターンを見つけます。そして学習した結果を新たなデータにあてはめることで、パターンにもとづき将来を予測することができます。
これまでは人の手によるプログラミングで逐一作られたアルゴリズムを、大量のデータから自動的に構築可能になるため、さまざまな分野で応用されています。
機械学習は大きく分けて、「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つに分類されます。
・教師あり学習:訓練に使われるデータに目的のラベルがついてあり、外部からAIに「このデータはこんな意味だよ」と教える過程が強くなります。
・教師なし学習:訓練に使われるデータに目的のラベルがなく、AIがデータの性質のみで自動的に、分類したり次の予測をしたりします。
・強化学習:AI自身が試行錯誤しながら、成果を最大化するために最適な条件を実現していくことです。より発展的な機械学習の分野になります。
主なAI② 自然言語処理
自然言語処理(Natural Language Processing)とは、人間の言語を機械で処理し、内容を抽出することです。言葉や文章といったコミュニケーションで使う「話し言葉」から、論文のような「書き言葉」までの自然言語を対象として、それらの言葉が持つ意味をさまざまな方法で解析する処理技術を指します。
最近では、高精度な翻訳ツール「DeepL」の登場や、Google検索エンジンの検索精度向上など、AIによって長文の文章に対しても的確な処理ができる時代になってきています。
参考:TechTarget
主なAI③ 汎用AI
汎用AIとは人間と同様の汎用的なAIな知的処理ができるようになることを意味します。一つのタスクに集中するのではなく、様々な問題やタスクに対応可能な、より汎用性の高いAIになります。汎用AIに関連する言葉にシンギュラリティという者がありますが、これは、人間の脳の汎用性と同レベルのAIが誕生する時点を現しています。
しかし、現状においては人間が持つ汎用的な知能とコンピューター上で表現するAIの間にはまだまだ大きな隔たりがあります。実際に、現在開発されているAIのほとんどは問題特化型で、1つのモデル化・数学化した問題の解決にのみ機能しているというのが現状です
人工知能(AI)のモデルをもとにした分類
AIは使われている演算処理の方法(モデル)をもとにしても分類できます。
代表的なAIのモデル① ニューラルネットワーク
ニューラルネットワークは、生物の脳を構成する神経細胞(ニューロン)の構造と働きを参考にしたモデルです。ニューロンは他のニューロンから一定値以上の電気信号を受け取り、その先につながったニューロンに電気信号を送ります。このようなニューロン同士の連携行動の仕組みを数値モデル化したものがニューラルネットワークと呼ばれます。
ニューラルネットワークは、データを入れる入力層、入力層から流れてくる重みを処理する中間層(隠れ層)、結果を出力する出力層で構成されています。人間が先生になって例題と模範解答のセット(教師信号)をニューラルネットワークに教えると、その後は教えていない範囲に対してもニューラルネットワーク自体が判断したり推理したりするようになります。
代表的なAIのモデル② 深層学習(ディープラーニング)
ディープラーニングは、多層化したニューラルネットワークを用いたマシンラーニングの手法です。。十分な学習データさえあれば、ニューラルネットワーク自体がデータ群の特徴を自動抽出することが可能です。
データの流れや処理の仕方によって様々なディープラーニングの種類があります。ディープラーニングだけでも、最低でも10種類以上のモデルが提案されています。
参考:simple learn
代表的なAIのモデル③ 遺伝的アルゴリズム
遺伝的アルゴリズムは、ダーウィンの進化論で用いた自然淘汰説をモチーフにしたAIです。
自然淘汰:生物は自然の状況、環境に適したもののみが残り、そうでないものは滅びるということ。
コンピュータ上で環境を設定し、それに適した条件のみが生存できる手法を作ることで、進化論に似たようなかたちで最適解を導き出そうとするのが遺伝的アルゴリズムです。この手法が得意とするのは、膨大な組み合わせが存在するなかからベストな答えを見つけ出すことです。人が計算することが難しいレベルの問題に対して、素早く最適解を提案することができます。
人工知能(AI)の社会への影響
AI(人工知能)の社会への応用分野と具体例
AIは現在の社会においてすでに様々な場面での応用されています。例えば、スマートフォンの音声アシスタントやお掃除ロボット、感情認識型ロボットなど、AIが身近な存在として人間社会において活躍しています。
また、皆さんもオンラインでの動画の視聴やSNSの使用、ネット通販などをしている方が多いと思います。現代においてこういったサービスのほとんどは、AIを駆使してお勧めのコンテンツを提示したり、その人をターゲットにした広告を展開したりしています。
さらに、医療の現場における画像処理や診断提案、交通インフラにおける自動走行、そして製造業の現場での組み立てロボットなども現在進行形で開発がされており、社会の基盤となるところでもAIは応用されています。
以下に主なAIを活用している分野とその具体例とまとめてみました。普段何気なく利用しているものでも、AIが使われていることが多々あります。どんな用途で活用されているのかチェックしてみましょう。
AIの応用分野と具体例
応用分野 | 具体例 |
医療 | 医療用画像診断、医療方法の提案、健康指導 |
交通 | 自動走行 |
金融 | 自動投資、金融検索システム、株式予測 |
観光 | 日程や予約のお勧め機能、マップ機能 |
SNS | 投稿お勧め、広告展開、ニュースフィード作成 |
E-コマース | 商品お勧め、チャット機能、広告展開、物流管理 |
ネットサービス | コンテンツお勧め、広告展開 |
ビジネス | 翻訳、音声アシスタント |
家事 | お掃除ロボット |
製造 | 製造ロボット、自動検査装置 |
参考:builtin
AI(人工知能)の持続可能な開発目標(SDGs)への影響
AI(人工知能)の持続可能な開発目標(SDGs)への影響も考えられます。2020年には、世界の研究者がAIの環境面への影響を調査し、多くのメリットが期待されることが示されています。
AIのSDGsに関する影響に関してはこちらの記事でも紹介してますので、是非ご一読ください。
関連記事:【2022年 | 最前線!】人工知能(AI)がSDGsにおよぼす影響は?
人工知能(AI)とは?に関するまとめ
人工知能(AI)とは?に関するまとめ
- 人工知能(AI)とは、学習・推論・判断など人間のふるまいの一部をコンピューターを用いて人工的に実現したもの
- AIの開発は、ブームと冬の時代を繰り返しており、そのたびにその応用範囲や実用性が広がっていることが分かります
- AIは「どのようにデータを扱うか?」と「どのような演算処理(モデル)を使うか?」という二つの点で分類できる
- 代表的なモデルであるニューラルネットワークは、生物の脳を構成する神経細胞(ニューロン)の構造と働きを参考にしたモデル
- AIは現在の社会においてすでに様々な場面での応用されている
- AIの応用例として、例えば、理療診断、自動走行、お勧め機能、お掃除ロボット、などが挙げられる
ここまで述べてきた通り、AIを上手く活用すればより生活を快適にできたり、持続可能な社会に近づいたりすることができます。一方で、AIの使い方を間違えると社会的な悪影響が発生する可能性があることも忘れてはいけません。私たちが扱っている情報は偏見や固定観念が含まれており、AIのアルゴリズムによってはそのような隔たった考え方のみが広まり、不正や不平等が増加する懸念があります。
そのため、AIの利用には、適切な規制やルールが設定されることが世界的に求められています。
今、私達にできること
✔︎A Iをうまく活用するために私たちにできること
・自分のデータの扱われ方を知る
・AI技術の活用例を偏見なく知る
これまでを踏まえて、最後に私達にできることを述べておきます。
私たちの社会において、今後ますますAIの役割は大きくなっていくと言われています。AIがより良く活用され、私達の社会が豊かになっていくためには、個人個人がAIが自分達に関する情報をどのように扱うかを積極的に決められるようにするのが大切であると言われています。そのため、個人のプライバシーも含めて、自分のデータがどのように扱われているか、まずは意識をすることが大切です。
また、AIの開発速度は人類の歴史上もっとも早いと言われています。人類の歴史を振り返ると、核反応の開発や実装に代表されるように、新しい技術はどのように扱うかが社会に恩恵をもたらすかどうかの鍵になっていきます。個人、政府、そして環境からの視点でより安全でリスクの低く、さらには多様性を保ったAIの活用が求められ、そのための政策や規制の枠組みが求められます。私達に出来ることととして、これまで述べたようにどのようなAIの技術がどのように私達の生活に影響しているのかをなるべく偏見なく知ることが大切な第一歩です。
皆さんも、今できることはなにか?ぜひ、考えてみてください。
SDGsに特化したSNS「Sustty」では、様々なSDGsアクションを紹介しています。
1人1人の影響は小さいかもしれませんが、みんなが取り組むと「チリも積もれば山となる」で、大きな影響になります。
ぜひこれらの活動を参考に、世界を持続可能にしていきましょう!
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