Sustty編集部がお届けするSDGs情報です。
参考になることはないかな?
こんな疑問に答えます。
この記事を書く私は、サステナブルに興味がある研究開発者です。アメリカやヨーロッパの方と仕事をする機会もありますが、異なる背景や文化そして考え方から、なるほどと思ったり、それはどうだろうと思う事が多々あります。
今回はSDGs世界ランキング第5位のベルギーに関して、その特徴と取り組みを紹介していきます。
世界のSDGs先進国はどのような事をしているのか知ることで、私たちの生活に生かせることもあるかも知れません。
まず、2021年におけるSDGsの世界ランキングトップ5は以下の通りです。
✔︎SDGsの世界ランキングトップ5(2021年時)
1位:フィンランド(85.9ポイント)
2位: スウェーデン(85.6ポイント)
3位: デンマーク(84.9ポイント)
4位: ドイツ(82.5ポイント)
5位: ベルギー(82.2ポイント)
ランキング国の簡単な紹介を次の記事でまとめていますのでぜひチェックしてみてください。
関連記事:【最新】SDGs世界ランキングトップ5と参考になるサステナブルな取り組み内容
本記事では、SDGsランキング第5位のベルギーに関して、その概要と取り組み内容を紹介していきます。SDGsの目標達成に向けて一人一人ができることを知り、今日からの取り組みに繋げてもらえたら嬉しいです。
目次
ベルギーのSDGsの取り組みに注目する理由
ベルギーのSDGsの取り組みに注目する理由は「SDGsの世界ランキング」で第3位(2021年時)であり、とても優秀なサステナブル活動を実践できているからです。まずSDGsの内容に関しておさらいしておきます。
SDGsとは?
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴールに分かれていて偏りなく「持続性」を推進できるように作れています。
またSDGsは、17のゴールを達成するために細かく決められてた169のターゲットからも構成されています。
詳細については次の記事で紹介します。
関連記事:【完全ガイド】SDGsとは?初心者のための分かりやすい網羅書
SDGsランキングとは?その概要と評価する項目
ドイツ最大財団のベルテルスマン財団と持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)は、2016年から年に一度SDGs達成状況を分析したレポート「Sustainable Development Report」を発行しています。
SDGsの進捗状況に関して総合的な評価が行われ、各SDGs項目が何%進捗しているか示されています。また、前回からの変化や目標達成に向けて進捗が順調かどうかも評価されています。
評価シートの一例として日本のスコアは以下のようになります。ここで、緑はSDGsのターゲットを達成済み、黄色が課題が残る状況、オレンジが多くの課題が残る状況、赤が後退している状況を意味しています。
日本では、教育(SDGs9)、産業と技術(SDGs9)、平和と公平性(SDGs16)が進んでると評価されていることが分かります。
一方で、ジェンダー平等(SDGs5)、気候変動(SDGs13)、海の豊かさ(SDGs14)、陸の豊かさ(SDGs15)、そしてパートナーシップ(SDGs17)に特に課題があります。
参考:Sustainable Development Report
日本のSDGsスコアに関しては下記の記事で詳細を取り上げていますので、良かったらご覧ください。
では、次の章で世界ランキングでトップクラスであるベルギーの特徴や取り組みを紹介していきます。
ランキング5位ベルギーのSDGsの取り組み
第5位ベルギーのSDGs概要
2021年にSDGsランキング第5位に見事輝いたのは、西ヨーロッパにあるベルギー王国です。
SDGsランキングの上位3カ国がいずれも北欧の国々であり、北欧以外からのランクインではドイツにつぎ、第2位になります。
ベルギーは19世紀に独立した、比較的に新しい国であり、首都ブリュッセル(ブリュッセル首都圏地域)は欧州連合(EU)の主要機関の多くが置かれているため「EUの首都」とも言われています。
ベルギーの人口は1159万人ほどで、SDGs上位常連国のスウェーデン(1035万人)と比較的に近い人口であり、東京都(1396万人)よりは少ないほどになります。
参照:毎日新聞
2022年の最新の発表によると、ベルギーは経済的権利の男女格差評価において、ほとんど男女格差のない100点に位置しており、起業・就業時間・職業選択・賃金の上で、性別による差異がないことで有名です。
また、ベルギーは2020年の段階では、SDGsのランキングにおいて2桁台であった状態から、2021年には飛躍的に順位を伸ばし、トップ5に入り込んできました。これは、前々からの仕込みも大切ではあるものの、実行力のある国においては、1年のうちに改善の伸び幅を大きく、上位に移行することをできる可能性があることを意味します。
ベルギーのSDGs評価パネル(2021)を見てみると、昨年からの改善で比較した場合(矢印の向きをチェックすると)、ほとんどの項目が改善(↑または↗︎)されていて、高い改善傾向的にSDGsの取り組みがなされていることが分かります。
では、ベルギーにおける具体的な取り組みを見ていきましょう。
【取り組み1】サッカー場を地域住民の社会的つながりの場へ
スポーツを「社会に変革をもたらす開発ツール」と位置付け、ベルギーレッドコートと呼ばれる新たなプロジェクトを開始しました。
このプロジェクトで、RBFAは設置後15年を経過した40カ所のミニサッカーコートを4年間で改修し、若者や年配者が集まり、地域住民の社会的なつながりを深めることができる場所を創造しようとしています。
地元の自治体と協力し、集会ホールや照明設備、陸上競技トラック、無線ネットワークのアクセスポイントを設置しています。
運営側からはプロジェクトにおける次の3つの柱が紹介されています。スポーツを通した、地域活性が見て取れます。
このプロジェクトには3つの柱があります。
1)40のサッカーコートの改修
サッカーコートは新しく持続可能な外観を得るでしょう。 各コートは、(以前の)ベルギーのレッドデビル(サッカーベルギー代表の愛称)またはフレイムにリンクされます。
コートを所有する地方自治体と緊密に連携していきます。
2)ベルギーレッドコートプログラム
インクルージョン、倫理、健康、環境など、さまざまなテーマで教育的なサッカープログラムを実施します。
ベルギーレッドコートのコーチをトレーニングして、ベルギーレッドコートの毎週のプログラムを主導します。
3)ベルギーレッドコートカップ
2023年には、国民を団結させるための全国サッカートーナメントである最初のベルギーレッドコートカップを開催します。
決勝戦はプロキシムスベースキャンプで行われます。 トーナメントでは、ユースサッカー、Gサッカー、ウォーキングサッカー、女子サッカーなど、さまざまなサッカー分野が取り上げられます。 大きなサッカーパーティーになります!
【取り組み2】マルチ燃料港を目指す
参照:WPSP
ベルギーには、世界第5位の船舶用燃料の補給港として知られるのアントワープ港(Port of Antwerp)があります。
在来は型化石燃料を年間500万トン補給していましたが、2025年までに、より持続可能な代替燃料もあわせて提供する「マルチ燃料港」を目指しており、化石燃料にかわる、メタノール、水素、バイオフューエルなど、様々な燃料を導入する予定です。
アントワープ港のCEOジャックヴァンデルメイレン氏と企業の社会的責任者のリーゼデストンベス氏のコメントを引用します。
ジャックヴァンデルメイレン氏
「COVID-19の危機は、気候危機や貿易摩擦など、他の多くの危機に加えて発生します。
これは、私たちがエネルギーと気候の移行に向けて、そして確実に、デジタル移行に向けてより速く進むのに役立ちます。
ある危機は別の危機のきっかけになります。」
リーゼデストンベス氏
「SDGsは理想的なガイドラインです。それらは共通の言語で共通の国際的利益を表しています。
SDGsはまた、意思決定において、気候、幸福、ディーセントワーク、安全性、空気の質、移動性、責任ある消費など、いくつかのことを考慮に入れることを奨励する評価フレームワークを形成します。
私たちはすべてのSDGsに貢献したいと思っていますが、パートナーシップに関するSDG 17は、私たちの野心を実現するための手段です。
SDGsは、調達とコンセッションのポリシーおよび港の日常業務にも統合されています。
二酸化炭素の回収と貯蔵、グリーン水素と再生可能エネルギーの開発プロジェクトが開始されました。これには、世界初の水素タグボートと船舶用の海岸側電力が含まれ、陸上で汚染エンジンをオフにして電気で機能できるようにします。ほぼ100ヘクタールをカバーする新しい場所は2023年までに新しい循環産業のためにオープンします。
港の60,000人の従業員の通勤に代わる自動車のない代替手段を提供するウォーターバスは、もう1つのイニシアチブです。
わずか数年で100万人以上の乗客を運び、現在はフランダース政府によって運営されています。」
ジャックヴァンデルメイレン氏
「これは『港が、他の人々の持続可能な未来のためのテコとして、新しいアイデアや技術のテストゾーンになり得るという証拠』です。」
参照:UNRIC
【取り組み3】持続可能な農業に向けた協力プラットフォーム「Spotlight」
ベルギーの企業組織であるSAIプラットフォームは、持続可能な農業に向けた企業間の協力関係を促進する「Spotlight」というツールを提供しており、このツールによって、飲食品製造小売企業、食品サービス企業、農業ビジネス企業などの加盟企業間の協力関係が生み出されています。
Spotlightでは「①入力する・②探す・③構築する」の3つの働きかけがあります。
加盟企業は、
①持続可能性の「トピック」(例えば気候変動など)において果たしていきたい役割や持続可能性のトピックに関する自社の課題などをSpotlight内で記入し、
②同じ志を持つ企業と協力関係を探し、
③協力関係を築くことができ、
→全体としても課題に取り組んでいく企業を増やしていくことに繋がっています。
この取り組みによって、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」から派生し、様々な目標の解決が期待されています。
プロジェクトはベルギーの中に限らず、全世界において募集のかかる案件が見つかります。
また、プロジェクトごとにターゲット地域が異なったり、内容が異なるために、参加企業は自分の土地柄や方向性にあった企画を探すことができます。
従来までは「何が課題か分からない」「どうアプローチしたら良いか分からない」と言われていた持続可能に向けたトピックも、多様なテーマがあり、それを実現する協同者を見つけることができると、課題の理解が進み、解決の成功率を高めることができます。
ベルギーのSDGsの取り組みからの参考ポイント
改めて、ベルギーの取り組みを通して参考になるポイントをまとめます。
✔︎ベルギーのSDGsの取り組みまとめ
- 古くなった公共施設やスポーツ場を改修して、地域の交流の場に変えれれないか?
- 既存のインフラをよりより持続可能な原料や物流の中継地点に変えられないか?
- アプリを活用して、農業の生産者間や、生産者と消費者の交流を促進できないか?
まとめ:ベルギーのSDGsの取り組みを参考にしてアクションを始めよう!
本記事は「【最新】SDGsランキング第5位のベルギーの取り組みとサステナブルな取り組みへのヒント」について紹介しました。
改めて、ベルギーのSDGsの取り組み・ポイントをまとめます。
✔︎ベルギーのSDGsの取り組み
【取り組み1】サッカー場を地域住民の社会的つながりの場へ
【取り組み2】マルチ燃料港を目指す
【取り組み3】持続可能な農業に向けた協力プラットフォーム「Spotlight」
上記のポイントを踏まえて、もう一度のベルギーの概要や取り組みを見てみると、なるほどと参考になったり、さらに興味をもったりする取り組みもあったかもしれません。
まずは自分の興味があることから、サステナブルに向けた最初の一歩を踏み出してみることが大切です。
SDGsを知り、共有することでSDGsの達成が近づきます
本記事では「世界で最もSDGsが進んでいる国」の事例を紹介しました。
先進的な取り組むを知ることで、自国のSDGsを強化することができるようになりますが、実はこの「知る」こと自体もSDGs に関連してきます。
SDGsは世界的な取り組みのため、1人が取り組むだけでなく、周りを巻き込みながら、良いモノを取り入れて、進んでいない部分を強化していくことが大切です。
進んだSDGsの取り組みを幅広く知り、自分の生活をもっとサステナブルに変えていけたら嬉しいですね。
関連記事:SDGs17とは?繋がりの問題と「パートナーシップで目標を達成しよう」のための目標
SDGs達成に向けて私たちにできること
このほか、SDGsに特化したSNS「Sustty」では、様々なSDGsアクションの具体例を紹介しています。
1人1人の影響は小さいかもしれませんが、みんなが取り組むと「チリも積もれば山となる」で、大きな影響になります。
ぜひこれらの活動を参考に、世界を持続可能にしていきましょう!
また、Sustty-noteのサイトでは、SDGsに関わる様々な情報を掲載しています。宜しければぜひご参考にしてください。