【地球予報】地球温暖化の影響とは?温度上昇における影響を温度別に紹介

Sustty編集部がお届けするSDGs情報です。

マリモっち
地球温暖化の影響が問題になっているけど、実際のところ、何度上がったらどれくらいの影響が出るんだろう?
何となく「悪くなる」だと納得できないし、分かっている範囲でも影響の具体例を知りたい。

こんな疑問に答えます。

この記事を書く私は、社会人になってからSDGs関連、環境関連の活動を続けている社会活動家です。気候変動や環境破壊に関心があり、SDGsアクションの促進をしています。

本記事は「【地球予報】地球温暖化の影響とは?温度上昇における影響を温度別に紹介」について紹介します。

SDGsを含めた、地球環境、人権、生物多様性を考えるキッカケにしてもらえたら嬉しいです。

 

地球温暖化の温度別の影響を考える上で知りたいこと

地球温暖化の影響を考える上で、まずは知っておきたいことを紹介します。

 

天気予報を見ますか?

みなさんは天気予報を見るでしょうか。

天気予報は、実測される気象情報をもとに科学的な分析をし、晴れや雨、風速など様々な気象情報を予測しています。

極論すると、地球温暖化も天気予報と同じです。

地球のさまざまな地点において実測される情報をもとに、シミュレーションを用いて、未来の地球の状態を予測した、天気予報ならぬ、地球予報です。

地球温暖化の影響を予測する世界規模の最大組織は「IPCC」であり、参加国は195か国にのぼります。各国から推薦される有識者が、論文など最新の知見に基づいて情報が整理されており、現在の人間が出せるであろう、最も確からしい科学的情報が報告されます。

関連記事【知っておきたい】IPCCって何?気候変動を知り、対策するための世界の枠組み

 

なぜ工業化以前と比較するのか?

地球温暖化の影響を調べるとき、必ずと言って良いほど出てくるのは「工業化以前と比較して地球の温度が何度上がるか」という内容です。

本記事の下の方でも、工業化以前と比較した時の地球表面温度の差異を紹介しますが、そもそもなんで工業化前と比較するのでしょうか?

その理由は、工業化は、産業革命における蒸気機関を用い始めた産業上の転換により始まりましたが、そのエネルギー源が「石炭」であり、石炭を燃やすことで多くの二酸化炭素が生じ、その頃から人類が排出する二酸化炭素量が増加し始め、地球温暖化を進行させて始めた起源になるからです。

また、その影響を危惧した当時の科学者たちが「世界全体をカバーする観測データ」を取り始めたのが1850~1900年であり、その平均値を「工業化以前の温度」として比較の温度とされます。

関連記事:【知っておきたい最前線!】地球温暖化の原因とは?知っておきたい人間の責任

 

上昇温度の区切りの意味合いは?

本記事では、地球温暖化の影響を温度別に紹介していきますが、温度の区切りを次のようにします。

・+1.5℃の上昇
世界が自主的に最善の努力以上をしたら

・+2℃の上昇
パリ協定に世界が準拠して対策したら

・+2.7℃の上昇
今の対策レベルで進んだら(現在、各国が宣言している現状の対策の延長

・+4℃の上昇:
脱二酸化炭素に異を唱え、放棄する国が現れたら

・+5℃の上昇:
今の生活から予測される最悪な二酸化炭素排出の場合

当区切りは、IPCCにおける最新報告(AR6@2021〜2022)の各シナリオのおおよその中央値に基づき、本記事執筆者なりの平坦な解釈で表現しています。参考にしている報告書は、IPCCの報告を日本語版に翻訳されたものになりますので、正式な内容を知りたい場合は参考リンクをご覧ください。(参考:環境省

 

「工業化以前から+1℃なら?」の情報がない理由

近年のネット情報、文献情報を調べても「温暖化で工業化以前と比べて1℃上昇したらどうなるの?」という情報は多くはありません。

その理由は簡単で、工業化以前と比べて既に1℃上昇しまっていてその影響は予測ではなくリアルな現状だからです。

ということで、本記事では「1.5℃上昇したら」を温度別影響の最低ラインとして、各種紹介していきます。

なお、現状すでに起こってしまっている温暖化の影響については次の記事をご覧ください。

関連記事:SDGs13とは?地球温暖化の問題と持続可能な開発目標「気候変動に具体的な対策を」

関連記事:【知っておきたい最前線!】地球温暖化の影響とは?「今と未来」への影響を紹介

 

温度別における地球温暖化の影響(全体像)

それでは、温度別における地球温暖化の影響の全体像を紹介します。

 

各温度上昇におけるリスク/影響

最初からとても難しそうなグラフが出できますが、IPCC第6報告書の和訳にある「地球温暖化の水準の上昇による世界全体および地域的なリスク」をまとめた予測は次のとおりです。

左側の線グラフは「シナリオ別の温度上昇の予測」で、右側の棒グラフは「各温度域における各種の影響・リスク」。温度別の影響を知るには右側の棒グラフを見てみましょう。右側の棒グラフでは、大きく5つの項目で影響・リスクが整理されています。

RFC1: 固有性が高く脅威に曝されているシステム
具体例:サンコ礁、北極域及びその先住民、山岳氷河及び生物多様性のホットスポットなど

RFC2:極端な気象現象
具体例:熱波、大雨、干ばつ及び関連する林野火災、並びに沿岸洪水など

RFC3:影響の分布
特定の集団に偏って影響を及ほずリスク/影響

RFC4:世界全体て総計した影響
世界的な金銭的損害、地球規模の生態系及び生物多様性の劣化と喪失

RFC5:大規模な特異現象
具体例:グリーンラントや南極の氷床の崩壊など

上の棒グラフからわかることは、RFC1〜5のリスク・影響が、

1℃上昇:RFC1のみ高く、その他は中程度以下

1.5℃上昇:RFC1〜2で高くなり、その他の項目は中程度以下(これが世界で「1.5℃」が求められる理由)。

2℃上昇:RFC1〜2で非常に高くなり、その他全ての項目で高くなる

3℃以上の上昇すべての項目が非常に高くなる

上のまとめを見ると、現在、世界で「温暖化を1.5℃以下に!」と強く叫ばれている理由がよく分かると思います。

 

現状の対策の延長では「2.7度の上昇」

なお、上でも紹介したとおり、世界が現在アナウンスしている内容を考慮すると地球は、現在の延長では2100年に2.7度温度上昇することが予測されています。

そのため、各国においては気候変動に向けた更なる対策の強化を求めるデモが生じています。

 

温度別における地球温暖化の影響(個別)

それでは、温度別における地球温暖化の影響を紹介します。

なお、参照している影響はAR6並びに1.5℃特別報告書になり、下の影響は全て「予測」であることを念頭にご覧ください。

 

工業化以前から+1.5℃上がった時の温暖化の影響

参照:沖縄タイムス

工業化以前から地球の表面温度が1.5℃上昇したら次のような影響が生じることが予想されます。

なお、現在の世界の延長では、2030年(8年後:2022年現在より算出)にこの状態に陥ることが予測されています。

生物多様性

・熱帯や海岸線の種の20%以上が、今後数十年で過去最高温度を経験する

・1.6℃の上昇で、海洋種の10%以上が絶滅リスクに陥る

・陸生生物の9%が絶滅リスクに陥る

・陸生生物の固有種(ある特定の地域あるいは島にだけに生息する生物)では、山で84%、島で100%が絶滅リスクに陥る。

自然

・世界中で、標高の小さい氷河の総質量の大部分を失う

・海面が0.52m上昇する(中央値)

・北極海で海氷のない夏が100年に1度おこる

・サンゴ礁が80%(中央値)死滅する

人間生活

・極端に暑い日の気温が3℃上昇する(最高気温が3℃高まる)

・高緯度では極端な寒い夜の気温が約 4.5℃上昇する

・海洋での漁業について世界全体の年間漁獲量が150 万トン以上の損失を受ける(参考:日本魚介類年間消費量:569万トン)

なお、日本においては2017年時点で、沖縄県石垣島と西表島の間にある国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」の調査35カ地点でサンゴ死滅の7割に到達しています(参考:沖縄タイムス)。

 

工業化以前から+2℃上がった時の温暖化の影響

工業化以前から地球の表面温度が2℃上昇したら次のような影響が生じることが予想されます。

なお、現在の世界の延長では、約2050年(28年後:2022年現在より算出)にこの状態に陥ることが予測されています。

また、1.5℃と2.0℃の温暖化の間には、地球環境への影響において大きな差が出ることが予想され、報告書の冒頭に次のように釘を刺されています。

気候モデルは、現在と1.5℃の地球温暖化の間、及び 1.5℃と 2℃の地球温暖化の間には、地域的な気候特性に明確な違いがあると予測する。これらの違いには、

・ほとんどの陸域及び海域における平均気温の上昇(確信度が高い)

・人間が居住するほとんどの地域における極端な高温の増加(確信度が高い)

・いくつかの地域における強い降水現象の増加(確信度が中程度)

・並びに一部の地域における干ばつと少雨の確率の上昇(確信度が中程度)

が含まれる。

これを踏まえ、2℃上昇における影響は次のとおりになります。

1.5℃上昇までの影響に加えて、

生物多様性

・2.1℃の上昇で、海洋種の20%以上が絶滅の危機に瀕する

・陸生生物の10%が絶滅リスクに陥る

自然

・降水量の変化により、山火事で焼失する世界の土地面積が35%増加する

・海面が0.62m(中央値)上昇する

・南極の氷床の不安定化/またはグリーンランドの氷床の不可逆的な消失の結果、 数百年から数千年にわたって海面水位が数メートル上昇し、これらの不安定化は約 1.5℃から 2℃の地球温暖化で引き起こされる

・北極海で海氷のない夏が10年に1度おこる

・サンゴ礁が99%以上死滅する

人間生活

・極端に暑い日の気温が4℃上昇する(最高気温が4℃高まる)

・高緯度では極端な寒い夜の気温が約 6℃上昇する

・1.5℃の時と比較すると、海面の上昇で最大1000万人がリスクに晒される

・海洋での漁業について、食に関する海洋資源が5.7%減少する

・気候に関連した食料の入手可能性と食事の質の変化で、2050年までに栄養関連の病気と栄養不足の人々が最大数億人になる

・約19億人がさまざまな水不足を経験する

・南ヨーロッパでは、人口の1/3以上が水不足にさらされる

・南アメリカ北部、地中海、中国西部、および北アメリカとユーラシアの高緯度地域の広い地域で、極端な農業干ばつの頻度は、150〜200%高くなる

・気象学的干ばつの頻度と期間は、北アフリカ、サヘル西部、アフリカ南部で2倍になる

・オーストラリア南部、東部およびニュージーランドの大部分は、より多くの干ばつと極端な火災が生じる

 

工業化以前から+2.7℃上がった時の温暖化の影響

工業化以前から地球の表面温度が2.7℃上昇したら次のような影響が生じることが予想されます。なお、現在の各国の意思決定の延長で予想される2100年の未来(約80年後)がこのラインです。

2℃上昇までの影響に加えて、

生物多様性

・3℃で熱帯インド洋と太平洋の大部分の海洋種の80%以上が潜在的に危険な気候条件を経験する

・3℃で陸生生物の12%が絶滅リスクにある

自然

・氷河について、高山アジアで約50%、中西アジアで約70%消滅する

人間生活

・3℃で、気候に関連した食料の入手可能性と食事の質の変化で、2050年までに栄養関連の病気と栄養不足の人々の数が増加し、数億人以上に影響がでる

・3℃で南ヨーロッパでは、人口の3分の2以上が水不足にさらされ、重大な経済的損失が発生する

 

工業化以前から+4℃上がった時の温暖化の影響

工業化以前から地球の表面温度が4℃上昇したら次のような影響が生じることが予想されます

3℃上昇までの影響に加えて、

生物多様性

・4℃の温暖化を超えると、熱帯海洋種の約50%が絶滅し、世界の陸地の35%でバイオームシフト(生態系の主要な植生形態の変化)が生じる

・陸生生物の13%が絶滅リスクにある

人間生活

約40億人がさまざまな水不足を経験する

・世界の陸地面積の約10%が、極端な河川流量の増加または減少に直面し(つまり大洪水や浸水、大干ばつを経験し)、21億人以上に影響がでる

・南アメリカ北部、地中海、中国西部、および北アメリカとユーラシアの高緯度地域の広い地域で、極端な農業干ばつの頻度が200%以上高くなる

 

工業化以前から+5℃上がった時の温暖化の影響

工業化以前から地球の表面温度が5℃上昇したら次のような影響が生じることが予想されます。

4℃上昇までの影響に加えて、

生物多様性

・陸生生物の何千種もが大量絶滅する

人間生活

・食に関する海洋資源が15.5%減少する

 

さいごに:地球温暖化の影響に対して、今、対策をとるべき理由

本記事は「【地球予報】地球温暖化の影響とは?温度上昇における影響を温度別に紹介」について紹介しました。

さいごに、「なぜ今、地球温暖化の影響に対して、取り組む必要があるのか」ということについて、いち大人としてのメッセージです。

 

子供の未来は、最低でも1.5度の上昇の地球です

今、子供を持つ世代の方へ(おおよそ20代〜60代)

自分の子供が、自分と同じ年になる時(2040年以降)には、地球の温度は、間違いなく最低でも1.5℃は上昇し、最悪では2℃上昇し、温暖化による生活上の不利益の中で生活しないといけません。

そして、その原因は、自分達が今までに受けてきた生活上の恩恵が原因です。

この未来が分かっている現在、私たちは目の前の生活を見直すことが求められています。

次の世代の人たちのために、自分の子供たちのために、やれることをやりましょう。

 

 

孫の未来は、最低でも1.5度の上昇の地球です

今、孫をもつ世代の方へ(おおよそ40代〜90代)

自分の孫が、自分と同じ年になる時(2060年以降)には、地球の温度は、間違いなく、最低でも1.5℃は上昇し、最悪では2.7℃上昇し、温暖化による生活上の不利益の中で生活しないといけません。

そして、その原因は、自分達が今までに受けてきた生活上の恩恵が原因です。

この未来が分かっている現在、私たちは目の前の生活を見直すことが求められています。

次の世代の人たちのために、自分の子供たちのために、やれることをやりましょう。

 

子供たちは、ストライキを起こしています

一方で、気候変動による悪不利益を大人世代が受ける期間は比較的に短めです。理由は、影響が出るのは数十年先の話だからです。

でも子供世代は違います。孫世代は違います。

だから学校のストライキ等を起こしてまでも「今の行動」の必要性を訴えています。

良心の呵責に訴えることしかできませんが、未来のために小さなアクションの1つでも起こしてもらえたら、未来に生きる人たちの笑顔を増やせるのかな、と思います。

 

読んで下さり、ありがとうございました。

サステナブルな未来に向けて、考えうるアクションを!

 

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2020年台は、今後の地球の持続性における分水嶺であり、この数年のアクションの変化が、今後の地球の住みやすさに劇的な変化をもたらします。

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