【2022年は19位】SDGsランキングからみる日本の順位と取り組みポイントを解説

Sustty編集部がお届けするSDGs情報です。

マリモっち
2022年も半分が過ぎたけど、日本は世界から見てどのような状況なのかな?
せっかくSDGsという指標があるのだから、それを用いて探れないのかな?

こんな疑問に答えます。

この記事を書く私は、サステナブルに興味がある研究開発者です。いろいろな指標を用いて、現状について学び、改善ポイントを探して、自分の出来ることに取り組み続けたいなと思いながら生活しています。

今回は、6月2日に発表されたSDGsのレポート「Sustainable Development Report」をもとに、日本の取り組みのポイントを探っていきたいと思います。SDGsランキングをみると現状の強みや課題を把握することができます。ここで大切なのは、「強み=今後伸長できるポイント」、「課題=今後改善できるポイント」としてとらえ、自分たちの行動につなげていくことかと思います。

私たちの現在地点を知り、今後の課題を整理することで、私たちの生活に生かせることもあるかも知れません。

そこで本記事では、SDGsの評価の内容などを含めて「【2022年は19位】SDGsランキングからみる日本の順位と取り組みポイントを解説」と題して、SDGsという指標を通して2022年現在の状況を見ていきたいと思います。

 

SDGsの日本の順位の確認方法

SDGsとは?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際的な目標です。17のゴールに分かれていて偏りなく「持続性」を推進できるように作れています。

SDGsは、17のゴールに分けられており、さらにそれぞれのゴールを達成するために細かく決められてた169のターゲットを含んでいます。包括的なため分かりにくい印象もありますが、SDGsという指標を上手く活用して、持続可能性に関する取り組みに生かしていくことが大切だと思います。

詳細については次の記事で紹介します。

関連記事:【完全ガイド】SDGsとは?初心者のための分かりやすい網羅書

 

順位の確認方法「SDGsランキング」とは?

国際的な研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」(SDSN)は、2016年から年に一度、SDGsの達成状況を分析したレポート「Sustainable Development report」を発行しています。約500ページからなる膨大なレポートで、以下のようなポイントが述べられています。

持続可能な開発レポートの主な内容

・現在の世界の状況とSDGsの進捗状況

・世界のSDGsへの投資計画

・世界各国のSDGsランキング

・各国のSDGsの進捗状況

・SDGs達成に向けた政策や公約状況

参考:Sustainable Development Report 2022

レポート中のSDGsランキングとは、国連や研究機関などの統計資料をもとに、各国のSDGsの進捗を点数化し(SDG Index、SDGs進捗スコア)、各国をランキングにして表したものです。

 

取り組みを数値化する「SDGs進捗スコア」の見方

下記は評価パネルの一例として、2021年の日本のスコアをしめしています。

目標のロゴが色分けされており、それぞれの残されている課題の大きさを表しています。

目標ロゴの色分けの意味

赤色:課題が大きい

橙色:課題が中くらい

黄色:課題が小さい

緑色:目標を達成

目標の右側に矢印は前年からの進展を表しています。例えば、緑の矢印の場合は前年と比較して大きく前進していることを意味し、赤の下向き矢印は後退していることを表しています。

では、まずはSDGsという指標を通して世界の状況を見ていきましょう。

 

SDGsの日本の順位と取り組みポイント

日本のSDGsの順位:世界19位@2021年

SDGsを支える政策の目標や取り組みは、国によって大きく異なっています。そのためSDSNでは毎年、SDGsに対する政府の取り組みについて調査を行い、進捗をSDGs進捗スコアとして公表しています。

また、SDGsの目標が、各国の公式発表や計画、予算、モニタリングシステムにどのように組み込まれているかチェックし、取り組みの度合いをスコア化(取り組みスコア)しています。

各国のSDGsに関する行動が、他国のSDGs達成にプラスまたはマイナスになる可能性があります。そこで、SDGsレポートでは、波及スコアという第三の評価項目を設定し、貿易、経済・金融、安全保障の3つの側面から、こうした波及効果を評価しています。波及うスコアが高いほど、その国はより多くのプラスの波及効果をもたらし、マイナスの波及効果は少ないことを意味します。

SDGs進捗スコア:SDGsの目標に対する達成度

SDGs取り組みスコア:SDGsの取り組み宣言に対する自国の取り組み度

SDGs波及スコア:他国へSDGs達成への影響の度合い

2020年のSDGsに対する政府の取り組みスコアは、60カ国以上を対象に集計されました。下記の図は、各国の取り組みスコアに対して、SDG進捗スコアを表したものです。

日本はSDGsスコアをもとにしたランキングで2022年に報告された「2021年におけるSDGs進捗スコア」において19位となっています。

日本の順位は2017年の11位をピークに低下傾向にあります。ただし、SDGsの取り組み度合いスコアは10位となっており、比較的政府の活動や公的な取り組みは活発であると捉えられています。

もう1つ特徴なのは、SDGs波及スコア67.3とランキング中134位と、SDGs進捗スコアに対してとても低いことです。

これは地理的な影響もあると推測されますが、SDGsに関して比較的積極的な取り組みをしていながら国際的な影響が少ない事が課題とも言えます。

参考:Sustainable Development Report Japan

評価パネルを見てみると、三つの分類(強み、課題、大きな課題)に注目できます。

目標を達成している達成項目
=伸ばすべきポイント

  • SDGs5「質の高い教育をみんなに
  • SDGs7「産業と技術革新の基盤をつくろう」
  • SDGs16「平和と公正をすべての人に」

課題が多く、前年比で改善していない項目
=特に改善すべきポイント

  • SDGs14「海の豊かさを守ろう」
  • SDGs15「陸の豊かさを守ろう」

前年比で前進しているけど課題を残す項目
=改善すべきポイント

  • SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」
  • SDGs12「つくる責任つかう責任」
  • SDGs13「気候変動に具体的な対策を」
  • SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」

SDGs順位からみる日本の伸ばすべきポイント

日本で優れているSDGs番号は次のとおりです。

✔︎日本における達成度の高いSDGs

  • SDGs5「質の高い教育をみんなに
  • SDGs7「産業と技術革新の基盤をつくろう」
  • SDGs16「平和と公正をすべての人に」

SDGsランキングからみると、日本は、SDGs5「質の高い教育をみんなに」やSDGs7「産業と技術革新の基盤をつくろう」、そしてSDGs16「平和と公正をすべての人に」に関して比較的優れており、これらが今後も伸長すべきポイントだと言えます。

 

日本のSDGs高順位①:SDGs5「質の高い教育をみんなに

教育面としては、初等教育及び中等教育を修了する子供の比率が高いことや義務教育に参加できる人の割合が高いことが高評価の一因として挙げられます。

また、15歳を対象に読み書き、数学、科学、そして実践生活に役立つスキルを評価する国際学生プログラムのスコアが高い事もSDGs達成の要因になっています。

 

日本のSDGs高順位②:SDGs7「産業と技術革新の基盤をつくろう」

産業や技術革新の基盤に対しては、インターネットやモバイル通信を享受している人の割合や、交通手段を有している人の数が多いことが強みとして挙げられます。

また、学術雑誌に投稿される論文数や研究者の数、そして特許数なども高水準であることが示されています。逆に言うと、直近では研究者の待遇の悪さから論文数の減少や研究者の流出が叫ばれており、SDGs7を高い水準に保つためには待遇改善が必要です。

 

日本のSDGs高順位③:SDGs16「平和と公正をすべての人に」

平和と公正を見てみると、殺人事件や犯罪の数が少ない事、住んでいる市区町村で夜間の一人歩きが安全だと感じる人が多いことなどが大きなメリットとなっています。

さらに、汚職が少ないことや公正な裁判を受けやすいことも日本の長所と挙げられています。

 

SDGs順位からみる日本の改善ポイント

SDGsランキングで特に大きな課題と評価された日本の改善ポイントは以下の二つです。

  • SDGs14「海の豊かさを守ろう」
  • SDGs15「陸の豊かさを守ろう」

SDGs14に関しては、海の水質悪化やごみ問題、過剰の漁業による海洋環境の悪化が懸念されています。例えば、海洋環境がどの程度健全に保たれているかの指標であるOcean Health Indexは100ポイント中の59ポイントで、いまだに減少傾向にあります。海洋環境は人々を支える大切な資源でもあり、その環境を改善していくことがポイントとして挙げられます。SDGs14に関しては下記の記事で整理しています。

また、森の豊かさに関しては、絶滅危惧種の増加が一番の課題点となっています。この指標は、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストの各カテゴリーに属する種の数の実際の変化に基づいています。住居や発電所などの工業的な開発が広がる一方で、生物の生息環境が悪化し、森や自然の豊かさが損なわれています。海と同様に森も大切な資源であり、森の豊かさを改善しながら人々の快適な生活を実現していくかが鍵になってきます。SDGs15に関しては下記の記事で取り上げています。

 

またその他の大切な課題=改善ポイントは以下の4つの項目です。

  • SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」
  • SDGs12「つくる責任つかう責任」
  • SDGs13「気候変動に具体的な対策を」
  • SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」

SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」に対しては、「女性国会議員の割合」が少ないことや「賃金のジェンダー格差」が存在していること等が改善のポイントです。

また、SDGs12「つくる責任つかう責任」に関する指標では、「電子機器の廃棄量」が多いのに加え、今回加わった「プラスチックごみの輸出量」が多いことが指摘されています。今後、電子機器やプラスチックの排出は、社会の制度に加えて一人一人の行動に影響されるものであり、今後改善できる点として考えられます。

SDGs13「気候変動に具体的な対策を」では、「化石燃料の燃焼とセメント製造による二酸化炭素(CO2)排出量」や「輸入品に含まれるCO2排出量」の多さなどが課題です。現在も日本のエネルギーは化石燃料に依存しています。工業製品や車、輸入製品も含めて、CO2を排出しにくいクリーンなものに可能な限り早くシフトしていくことが求められています。

最後に、SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」では、政府開発援助を含む国際的な資金援助の必要性が強調されています。

 

まとめ:SDGsの日本の順位を改善していこう!

いかがだったでしょうか?確かにと思ったことや以外に感じられたこともあったかも知れません。

改めて、SDGsランキングからみる日本の強みと課題についてまとめます。

✔︎2022年SDGsランキングからみる日本の強みと課題

SDGs目標を達成している項目=伸ばすべきポイント

  • SDGs5「質の高い教育をみんなに
  • SDGs7「産業と技術革新の基盤をつくろう」
  • SDGs16「平和と公正をすべての人に」

SDGsの課題を多く残し、前年よりと比較しても改善していない項目

  • SDGs14「海の豊かさ」
  • SDGs15「森の豊かさ」

前年よりは前進しているもののまだ課題を残しているSDGs項目

  • SDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」
  • SDGs12「つくる責任つかう責任」
  • SDGs13「気候変動に具体的な対策を」
  • SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」

現在も課題残る状況ではありますが、改善ポイントとして捉え、まずは自分の興味があること注目し、最初の一歩を踏み出してみることが大切です。SDGsを一つの物差しとして上手く活用し、SDGsアクションのレベルをあげていきたいものです。

 

SDGs達成に向けて私たちにできること

このほか、SDGsに特化したSNS「Sustty」では、様々なSDGsアクションの具体例を紹介しています。

https://sustty.com

1人1人の影響は小さいかもしれませんが、みんなが取り組むと「チリも積もれば山となる」で、大きな影響になります。

ぜひこれらの活動を参考に、世界を持続可能にしていきましょう!

また、Sustty-noteのサイトでは、SDGsに関わる様々な情報を掲載しています。宜しければぜひご参考にしてください。

>【完全ガイド】SDGsとは

 

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