SDGs15とは?陸の問題と「陸の豊かさを守ろう」のための持続可能な開発目標

Sustty編集部がお届けするSDGs情報です。

マリモっち
SDGs15について知りたいなあ。
陸の問題について分からないから、どんな問題があるのか?みたいなことも知れたら嬉しい。

こんな疑問に答えていきます。

この記事を書く私は、社会人になってからSDGs関連、環境関連の活動を続けている社会活動家です。

子供の頃は山の中を駆け巡り、山登り・キャンプ・川釣りなどをしていたので、陸の自然が大好きです。

本記事では「SDGs15とは?陸の問題と『陸の豊かさを守ろう』のための持続可能な開発目標」について紹介します。

SDGs15について知って、なぜ取り組むのか?ということから、どんなことができるのか?ということを知り、身近な生活の具体的な改善アクションにつなげてみてください!

 

SDGs15とは?

SDGs15とは「陸の豊かさを守ろう」という目標のもと、陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する目的で作られました。

日本は豊かな森、それに伴う水の資源があり、きれいな自然が残る場所が多くありますが、世界に目を向けると陸がさまざま意味で「枯れて」しまっているところが多く、それはその地域のせいではなく、日本の生活を悪影響を与えてしまっているのが事実です。

豊かな陸の資源があることは、人間生活にとても重要です。

✔︎陸からの恩恵

・人間生活の基盤

・食資源(野菜・お肉・飲料水)

・医薬品、燃料の天然資源

・雨の濾過

・地盤の強化

陸は住処、食を含め人間生活のあらゆる基盤です。

SDGs15では、陸資源を保全し、持続可能な形で利用することを、今後のありたい姿としています。

 

SDGs15とは?分かりやすく言うと「陸をずっと元気に!」

少し堅い言葉が続きましたが、SDGs15とは、分かりやすく言うと「陸をずっと元気にしていこう!」ということです。

”未来にわたってだれも”が陸の資源と共存しながら生きていける環境をつくることが目的になります。

 

世界におけるSDGs15の問題

世界において、SDGs15で問題になっていることはたくさんありますので、主に3つを紹介します。

✔︎SDGs15の世界の問題

① 森林の減少

② 絶滅危惧種の増加

③ 土壌の劣化・砂漠化

① 森林の減少

SDGs15の世界の課題の1つは、森林の減少です。

この数十年の世界の森林面積の変化を調べると、次のようになっています。

参照:Global Forest Resources Assessment 2020

世界的に、森林面積が減少していることがわかります。

1990年から2020年までの間に森林の減少は「42.36億ヘクタール→40.58億ヘクタール」であり、約1.78億ヘクタールもの消失しています。これは日本の総国土面積(0.38億ヘクタール)の4.7倍になるので、つまり世界はこの30年で日本4.7個分の面積の森林を失っています。

では、どこで森林がなくなっているのか?気候帯別にまとめたテーブルを紹介します。

Boreal:亜寒帯
Temperate:温帯
Subtropical:亜熱帯
Tropical:熱帯

参照:Global Forest Resources Assessment 2020

こうしてみると、例えば2015年から2020年の5年間で、各気候帯では次の森林減少率になります。

✔︎2015-2020年の森林減少率

Boreal(亜寒帯):0.06%
Temperate(温帯):0.31%
Subtropical(亜熱帯):0.50%
Tropical(熱帯):9.3%

数字から一目瞭然のように、気温が高くなる、つまり熱帯に近づくにつれて森林の減少率が高くなり、熱帯においては約10%もの森林面積が減少しています。

以下、Googleの提供する、1984年と2020年における緑地の差異を比較したグラフィックな動画になります。ぜひご覧ください。

 

② 絶滅危惧種の増加

SDGs15の世界の問題の2つ目は、絶滅危惧種の増加です。

下のグラフは、日本自然保護協会がまとめている、2000年から2020年までの評価種数と絶滅危惧種の数の推移です。

黒線:評価された種の数、赤線:絶滅危惧種の数

参照:日本自然保護協会

こうしてみると、絶滅危惧種の数は増えていますが、評価されている種の数も増えており、「評価数に対する絶滅危惧種の割合」で確認すると減少傾向にあります。

つまり、「絶滅危惧種が増加している」というは、温暖化や生物の生息地域の減少だけが原因ではなく、評価の母数が増えているから、という見方もできます。

でも「絶滅危惧種の割合は減ってるから安心だね!」という話ではありません。事実、3万種をこえる生物種が絶滅の危機に瀕しています。

絶滅すると、その種が地球から消えていくことを意味します。

どこかの何かも分からない生物が絶滅したところで、人間には関係ないよね!」と言うと、そういう訳でもないと思います。

地球が数十億年と掛けて培ってきた現在の生物の多様性が織りなす地球環境が、この数千年の人類が繁栄するに必須る環境にマッチしたことを思うと、今の生態系を崩すことは、生態系のバランスを崩すことになるので、どこかしらに不調和が生じ得ます。

 

③ 土壌の劣化・砂漠化

SDGs15の世界の問題の3つ目は、土壌の劣化・砂漠化です。

砂漠化とは?

砂漠化は、砂漠化対処条約で「乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿潤地域における種々の要因(気候の変動及び人間活動を含む。)による土地の劣化」と定義されています。

土地の劣化は世界中のどこでも発生する可能性がありますが、乾燥地における土地劣化を砂漠化とよんでいます。

参照:環境省

なお、地球上でどれくらい砂漠化してしまっているのか?という推移については、複数の報告がされているようですが、砂漠化のプロセスが複雑なために数値データとしてまとめられていないようです(世界的に、まとめることが出来ない状態のようです)。

2019年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告では、「土地劣化は深刻な問題であるにもかかわらず、その範囲と程度を示す信頼できる地図は存在しない」とされています。

持続可能性に関する多くの問題が、「問題」として認識できるまでの評価法が作られつつありますが、砂漠化問題は「問題を認識することも難しい」ということなので、ことの難しさがより際立ちます。

 

日本におけるSDGs15の問題

「美しい国 日本」と言うフレーズで安倍内閣が目指した国家像は記憶に新しいと思います。

日本は砂漠などが少ないので陸の豊かさは持続されているように感じますが、SDGsにおける国際的な評価において、日本のSDGs15は2021年にスコアを落としています。

では日本においてどんなSDGs 15の問題があるのか?大きく2つにまとめます。

✔︎SDGs15の日本の問題

① 陸、淡水の保全面積の少なさ

②  外来種による生態系の破壊

① 陸、淡水の保全面積の少なさ

写真:Apiste

SDGs15の日本の問題の1つは「陸、淡水の保全面積の少なさ」です

人間活動を我が物顔でしていると、生物の住処を奪い、多様性の破壊に繋がりかねません。そのため、各所は「保全する域」を定めて、生物の多様性を守ることが求められています。

下の表は、日本の淡水における保護区と非保護区の面積と比率を整理したものです。

JBO2 では第 II 章第 1 節に「陸域及び内陸水域の約 20.3%が保護地域に指定されている」とあり、日本全土 の内陸水の保護区は十分であるとの認識が示されてい る。

・・・

しかし、保護区とされる開水面の 多くは天然湖(86%)で、河川・入り江や小規模止水域 では、おのおの 8%、7%に留まっている。

・・・

一方で、保護区面積は極めて 大きいにもかかわらず、湖沼では淡水魚や水生植物について、2000 年以前に比べ 2001 年以降では顕著な種の減 少が認められた。

この事実は、保護区であっても生物多様性の減少を止めるための保全が適切になされていないことを示している。

湖沼、湿地、ため池などは、集水域 の下流末端に位置することが多い。そのため、富栄養化など、生物多様性を減少させる主要な駆動因が集水域の 土地利用に起因する場合には、湖沼、湿地、ため池だけを保護しても十分ではなく、集水域での規制等が必要となる。

同様に、河川においても、下流域は上流の影響を 大きく受け、栄養塩や汚染物質のみならず侵略的外来種の侵入にも極めて脆弱である。

このように、淡水域の保全は、集水域を単位として、陸域と一体化した保全戦略の再構築が強く望まれる。

淡水生態系は、すでにその劣化が著しいため、その保 全と回復に取り組むには、モニタリング、情報収集・整 備、評価、そしてそれを政策に繋げる一連の努力が、こ の先長期的に継続される必要があるだろう。

参照:国立環境研究所(2016)

日本では、保全している場所でも、大きな湖などが保全域の大半を占め、全体の割合を底上げしているものの、細かくみると、河川、入り江、小規模止水域などの保全割合が著しく低く、生物の多様性を破壊している一因になっています。

 

② 外来種による生態系の破壊

SDGs15の日本の問題の2つ目は「外来種による生態系の破壊」です。

国内の生物は、それらで生態系を維持してきた歴史がありますが、外国からの新種が入ることにより、その生態系が破壊されることが懸念されます。

中でも、危険性の高い外来種を国は「特定外来生物」としてまとめており、その対策をしています。

特定外来生物

特定外来生物とは、外来生物(海外起源の外来種)であって、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。

特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれます。

参照:環境省

例えば、2017年に「ヒアリ」が日本で確認されたことが話題になりました。その後、話題に上がらなかったため、駆除に成功したかというと、その後数年の観察により、ヒアリが全国に広がっていることが報告されました。

参照:沖縄科学技術大学大学院

影響力の高い外来種は、またたくまに拡散し、日本の生態系を破壊し、侵食していくため、固有の生物多様性を保持することの問題になっています。

 

SDGs15の私たちにできること

世界中で起きている様々なSDGs15の問題について、対策について紹介します。

 

SDGs15の私たちにできること

世界で起きている問題に対して、SDGs15の対策として私たちにできることの例を紹介します。

✔︎SDGs15に対して私たちにできること

① 認証マークのついた食品を購入する

② 使い捨てを買わず、再利用を心がける

③ 保全活動への理解、参加、募金をする

④ 外来種を持ち込まない、放さない

このほか、SDGsに特化したSNSの「Sustty」のサイトでは、SDGsのSNSとして様々なSDGs5の具体例が紹介されています。

1人1人の影響は小さいかもしれませんが、みんなが取り組むと「チリも積もれば山となる」で、大きな影響になります。

ぜひ活動を参考に、世界を持続可能にしていきましょう!

https://sustty.com

 

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