Sustty編集部がお届けするSDGs情報です。
こんな疑問に答えます。
この記事を書く私は、社会人になってからSDGs関連、環境関連の活動を続けている社会活動家です。
最近、海沿いに暮らし始めたこともあり、綺麗な海に癒される日々を過ごしています。そのこともあって、綺麗な海を後世に繋げていきたいものだと考えています。
一方、人間活動が海に与えている影響はとても大きく、今世紀において「持続可能な海洋の利用」は危険にさらされています。
そこで本記事は「【注目】海洋プラスチック問題への世界の対応|世界と日本の比較」について紹介します。
海の豊かさを未来永続的に残すために、海の問題の1つを知ってもらえたら幸いです。
目次
海洋プラスチック問題への世界の対応の背景
まず、海洋プラスチック問題に対して世界が取り組み始めた背景を紹介します。
1910年代:プラスチック製品の始まり
プラスチックは、1910年に米国で植物以外の原料で人工合成のフェノール樹脂「ベークライト」を製品化したことに始まり、市場を通して社会的にゴミが出始めてからはまだ110年程度になります。
1930年代:海ごみ問題の認識
1930年当時、人工物が海洋生物に絡みつき、傷付けてしまう課題が報告されたことから「海にゴミを排出されると海洋生物に悪影響を与えてしまう可能性がある」と認識が芽生えました。
1940年代:流出プラごみの絡みつき確認
1940年代、米アラスカ州で出処不明のゴムバンドが首に絡まったオットセイが複数見つり、議論を呼びました。
その後、専門家による鑑定から、 第二次世界大戦時に日本軍が物資補給のために上空から投下したパラシュートの部品の一部である、と結論に至り、流出したプラスチックゴミが自然に住む海洋生物に絡みつく危険性をリアルで確認されました。
1960年代:プラごみの絡みつきの報告増加
1960年代には、漁網の一部が流失して海洋生物・陸生生物に絡み付いたという報告が増え始めます。
・人里離れた無人島に生息するコアホウドリ
・深海魚のミズウオの胃
などからもプラスチック片が見つかるなど素材や技術、生活様式の変化を反映しながら、海ごみ問題が現れてきました。
1980年代:問題意識の芽生え
1980年代、科学者、漁業者、環境保護活動家達の間で、海洋プラスチックごみへの懸念が急速に高まり、問題意識の共有と対策への動きが始まります。
米国海洋大気庁(NOAA)漁業局南西部漁業センターホノルル研究所は、海ごみが海洋資源に及ぼす影響などの科学的・技術的側面からの検討に着手し、1984年に米国・ハワイ州・ホ ノルル市で、世界初の海洋ごみに関する 国際ワークショップ(FIMD)を開催しました。
米国、日本、韓国、中国・台湾 政府職員のほか、複数の国から科学者や環境保護団体などが参加し、船舶からの廃物規制を開始するなど、海洋ごみに対する認識が世界的に意識され始めました。
2010年代:世界的取り組みへ
1980年以降、各種の会議や対策がなされてきましたが、海洋におけるプラスチックごみは悪化の一途をたどりました。
2016 年、世界経済フォーラムでは「このままプラスチック生産量が増え海に蓄積すれば、 その総重量は2050年までに海にすむ魚の総量を超える」と発表し、人びとに衝撃を与えました。
すでに始まっている循環型社会を目指す動きとも合致する「脱プラスチック」は、ここ数年の世論の高まりに応じて加速し、各ドメインが、次々と海洋プラスチックごみ問題へ対応を表明しています。
なお、現在、世界各国で起きている海洋ゴミの問題については次の記事でまとめているので参考にしてください。
関連記事:【SDGs14】海洋プラスチックごみ問題とは?海洋生物、人への影響を紹介!
海洋プラスチック問題への世界の対応(SDGs上位国)
現在、未来にわたって持続可能な環境を維持するための世界的取り組みとして、国際連合で承認された統一の目標「SDGs」があります。
SDGsは「持続可能な開発目標」として17個のカテゴリーに分かれており、総合点のランキングでは、各々の国がどれだけ持続可能な社会に向けて対策を取れているのかの指標として見ることができます。
その SDGsの上位国とはまさに、未来的に続く環境を残す施作をしている模範となるような国々になります。
そこでここでは、SDGs上位国が、どのような海洋プラスチック問題への対応をしているのか紹介します。参考として、日本の取り組みも合わせてまとめます。
✔︎SDGs先進国のプラスチックごみを削減するための対応
国名 | 対応 |
---|---|
フィンランド
|
一部の使い捨てプラスチック製品の使用禁止 |
スウェーデン
|
・レジ袋への課税 ・化粧品などへのマイクロビーズの利用禁止 |
デンマーク
|
・薄めのレジ袋の使用禁止 |
ドイツ
|
2021年7月、使い捨てプラスチック(プラスチックストロー、使い捨てカトラリー、プレート、バルーンホルダーPS製のカップとボックス)の使用禁止 |
ベルギー
|
綿のつぼみ、刃物、プレート、ミキシングスティック、バルーンホルダー、現場で消費される、または持ち去られる食品、およびポリスチレンボトルなど使い捨てプラスチックの販売禁止 |
日本
|
20年7月 レジ袋有料化 22年4月 プラスチック削減の努力義務(罰則なし) |
SDGs上位国の全てが、1部のプラスチック製品の使用を禁止しています。この理由として、SDGs上位国自体がサステナビリティに対する意識のもとに生活していることに加え、取り巻く環境的には、EU(ヨーロッパ連合)としての話し合いの中、EU主導の規制の影響もあります。
2019年にEUで可決された「使い捨てプラスチック流通禁止指令」では、 綿棒の軸、カトラリー、皿、ストロー、マドラー、風船の棒、発泡ポリスチレン製の一部の製品(カップ、食品・飲料容器)、全オキソ分解性プラスチック製品が対象となり、EU各国はそれぞれの国に合わせた形でプラスチック規制を作成していく流れになりました。
日本では、プラスチックの使用について、あくまでも努力義務であり、こうした1つ1つの姿勢が、先進国という恵まれた環境にありながらもSDGs上位国に入ることのできない結果に繋がる一因になっています。
海洋プラスチック問題への世界の対応(G7)
1980年代以降から、先進国内で結成されたG7の国々では次のように海洋プラスチック問題について対応をしています。
✔︎海洋プラスチックごみ削減に向けた各国対応例
国名 | 対応 |
---|---|
フランス | 2020年1月、使い捨てプラスチック容器を原則使用禁止 |
イタリア | マイクロプラスチック含有の化粧品の製造、マーケティングを禁止 22年1月、カトラリー、プレート、ストロー、および「オキソ分解性」 (つまり、酸化によってプラスチックがマイクロフラグメントに断片化する添加剤を含むプラスチック)、綿などの他のプラスチック製品の販売禁止 |
イギリス | 2020年10月、プラスチック製ストロー、マドラー、綿棒の配布および販売禁止 |
カナダ
|
2022年後半、使い捨てプラスチック6品目(レジ袋、カトラリー、食品サービス容器、ストロー等)を禁止する意向 |
ドイツ
|
2021年7月、使い捨てプラスチック(プラスチックストロー、使い捨てカトラリー、プレート、バルーンホルダーPS製のカップとボックス)の使用禁止 |
米国
|
2009年 ワシントンDCで レジ袋への課金(プラスチック・紙ともに) ~2015年ハワイ州内郡でプラスチックレジ袋・ストロー等を段階的に禁止 2014年 カリフォルニア プラスチックレジ袋原則禁止 2018年 シアトル プラスチック製ストロー・カラトリーの禁止 2019年 カリフォルニア プラスチック製ストロー禁止 |
日本
|
20年7月 レジ袋有料化 22年4月 プラスチック削減の努力義務(罰則なし) |
G7において、日本を除いたすべての国で、一部のプラスチック利用について「禁止」の対応を取っており、日本は世界と比較して強制力の低い対応を選択していることがわかります。
日本では「プラスチックのリサイクル」を推進しており、本質的に「根本的にプラスチックを出さないようにする」という視点の対策を打つことができていません。
海洋プラスチックごみ問題への世界の対応の今後
現在、様々な海洋プラスチックの悪い影響があげられており、世界各国で多くの対応がなされています。
中でも国際的で統一した目標を掲げて世界的に取り組まれているのが「SDGs」で、海の項目は14番(SDGs14)です。
SDGs14とは「海の豊かさを守ろう」という目標のもと、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用することを目的に作られました。
海は「食資源(お魚・海藻)、医薬品、燃料の天然資源、排出物/汚染物の分解・除去」など、私たちの生活からは切り離せない大切な自然です。
一方、人間の活動によって、その海が汚され、海の資源が致命的なダメージを受けつつあるため、持続的に海の豊かさを守る上でSDGs14が大事になります。
詳細については次の記事で紹介します。
関連記事:SDGs14とは?海の問題と「海の豊かさを守る」ための持続可能な開発目標
世界の対応の今後は?
海洋プラスチックごみ問題に対し、現状では、SDGs先進国やG7の多くの国において、使い捨てプラスチックの1部などを使用禁止にする事例が多くでてきています。
一方、プラスチックゴミ問題を根本的に解決するには、更なる対応が必要であり、各国の中で次のような対策が議論されています。
✔︎海洋プラスチック問題の世界の対応の今後
現在:
一部の使い捨てプラスチックの使用禁止、課税、有料化
今後:
・使用禁止、課税、有料化するプラスチック品目の拡張
・生分解性プラスチックへの変換
・リサイクルシステムの強化
多くの国々で、現在の施作については2018年〜2022年の範囲で定められ、施行されてきました。
今後は、SDGsの目標である2030年に向けて、各国とも新規規制が制定されていくことが予想されます。
海洋プラスチックごみ問題の世界の対応を参考に、具体的な対策を取ろう!
本記事は「【注目】海洋プラスチック問題への世界の対応|世界と日本の比較」について紹介しました。
記事を通して、海洋プラスチックごみ問題について理解が深まり、「海の豊かさを守る」ために出来ることを考えるキッカケになれたら嬉しです。
また、具体的に何をしたら良いのか?という点については次の記事でまとめているのでぜひご参考にしてください。
関連記事:【今日からできる!】SDGs14「海の豊かさを守ろう」の達成に向けて私たちにできること
SDGs14以外に私たちにできること
このほか、SDGsに特化したSNS「Sustty」では、様々なSDGsの具体例を紹介しています。
1人1人の影響は小さいかもしれませんが、みんなが取り組むと「チリも積もれば山となる」で、大きな影響になります。
ぜひこれらの活動を参考に、世界を持続可能にしていきましょう!
また、Sustty-noteのサイトでは、SDGsに関わる様々な情報を掲載しています。宜しければぜひご参考にしてください。
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